9月のプチ防災「震度とマグニチュード」
『プチ防災』という趣旨からは外れ、『豆知識』になるかもしれませんが、今回は震度とマグニチュードのお話しです。
地震が発生するとテレビのニュースなどでは次のように伝えます。
「最大震度〇、マグニチュードは〇.〇と推定されます」
少し詳しいニュースでは、「地震の規模を示すマグニチュードは〇.〇」という表現と合わせて震源の深さなども伝えます。
震度は0から7までの整数で、5と6に関しては「強・弱」(+・―)で付し、全部で10段階になっています。
一方マグニチュードは小数点1位まで表現され、M4.0あたりから大きくなるとニュースに取り上げられるようになります。
防災士として活動しておりますと、マグニチュード(以下、『M』と表記)という言葉は知っているが、その意味は知らない人が多いように感じることがあります。
最大震度とMが近い数字であることが多く、その誤解を広げる要因であるかもしれません。
私が『マグニチュード』という言葉を知ったのは、高校2年生の『地学』の授業でした。
現在の高校では地学は選択科目となっていることが多いらしいのですが、私の高校時代、私が通っていた高校は2年生必修科目でした。
「Mが『1』違えば、地震のエネルギーは約30倍、『2』違えば約1000倍になる」という授業の内容は不思議なことに今でも鮮明に記憶しています。
1違うと30倍ならば、2違えば30×30 = 900倍では?と思ったのでした。
それから幾年月が過ぎたでしょうか? 防災士となり防災関連の書籍などを見る機会が増えてまいりました。
そのなかで、「1違えば約32倍になる」と記載された資料を発見したのです。
32×32 = 1024
この数字ならば、高校の教科書にあった「1000」に近づいて、四捨五入したと言われれば納得できなくはありません。
さらに専門的な別の資料には「31.6倍」というものもありました。
31.6×31.6 = 998.56
この数字なら高校2年生の時からずっともやもやしていたものが一気に晴れ渡ってしまいます。
「31.6」と記された専門的な書物には、Mを次のように説明されておりました。
「ずれ動いた『断層の面積』と、『断層面に沿った平均的なずれの大きさを』を掛け合わせたもの。」
併せて震源域の大きさを図形によって表現されています。
M9.0とされる東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を例にすれば、その震源域は東西方向200㎞、南北方向500㎞、ずれは最大で50m。
ちなみに、M8.0であれば、100㎞×100㎞、ずれ5mとなっています。
Mの細かい定義や計算式は、ここでは省略しますが、大雑把に言えば震源域のたての長さ、横の長さを掛けた数字(ある意味『面積』と言えるかもしれませんが)並べてみると、非常に興味深いものとなります。
以下のとおりです。
M5:3.16×3.16=10(9.9856)
M6:10 ×10 =100
M7:31.6×31.6=1,000(998.56)
M8:100 ×100 =10,000
M9:200 ×500 =100,000
Mが1増えると震源域のたて横の長さの積が10倍になっていることが分かると思います。
「31.6」という数字が地震学では特別な意味を持っているのだろうな~、いずれそれを明確に解説した書籍に出会うことになるだろうと思っていました。
と同時に、この「31.6」は、どこかで見たようなかすかな記憶がありました。
ひょんなことが、それが何であるが分かりました。
お手元に電卓がありますか?
その電卓のボタンを5つばかり押すと、「31.6227766」(10桁の電卓の場合)という数字が出てきます。
暇つぶしのつもりで、あれこれと試してみてください。
(参考文献:山岡耕春『南海トラフ地震』 岩波新書)
プチ防災じゃないような〜と思いつつつっこみます。
自分も高校の時に同じ話を聞きました。log10E=4.8+1.5M みたいな公式で表すとか。
石田くんの言う31.6とは√1000のことです。マグニチュードM が1増えると√1000の2乗 になるのでぴったり1000ということになります。だから1000倍はその通りで、30や31.6は概数です。
防災の話をする時、どれだけわかりやすく身近な話をするかを意識するので対数の話はしません。私は。
難しいと思われたら負けと思ってます。この間の防災訓練での話を聞いてもらったと思いますが、かんたんな話だったでしょ? 例えば、避難所の種類の話とかは、入れたくない話です。